哀しい幻の財産
母に呼ばれ
「ちょっと これを 見てほしいの」と
ある封書を渡されました。
母はよく市役所からのお知らせ等を
私に見てほしいと言います。
意味がわからないみたいで
どういう内容かを 私が説明するのです。
母から渡されたものは
年金証書でした。
5年前に届いた書類です。
父が他界した後 母宛に送付されたものでした。
年額 約100万円の支給額等の記載があります。
今 まさに 母は
その年金を 受け取っている真っ最中です。
母はじーっと私の顔を見ています。
私は証書に目をやっていましたが
その間 母の視線を感じていました。
「、、、これ 5年前に送られてきたものだよ、、、
今更 どうしたの?
今 貰っている 年金のことだよ」
母は 、、、あ、、、そうなの、、、
後になって思ったのですが
【お金が貰えるお知らせ】
さらなる財産だと思っていたのかもしれません。
可哀想に。
お母さん 貴方にあるのは
月額あたり 85,000円の年金
それが 全てですよ。
他には何も無いですよ。
なんだか 私が 哀しくなりました。